【注意!】民法改正による「18歳で成人」について、私の失敗談からの注意喚起
本日は平成最後の「成人の日」でしたね。
全国各地で成人式が開かれ、今年は約125万人が新成人となりました。
「成人の日」は、「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます日」ということになっておりますが、毎年、式典の最中に、大人になったとはとても思えないような行動をとる新成人の姿がニュースで流されます。
成人となる年齢が「20歳」である現在でも、まだまだこのような状況であるのに、2022年からは、「18歳」で成人となってしまいます。
世界的には「18歳で成人」となるのが主流のようで、日本もそれに合わせて、成人となる年齢を引き下げることによって、若者の自己決定権を尊重し、積極的な社会参加を促すことが狙いのようですが、このような状況で問題はないのでしょうか?
「18歳で成人」になって、何ができるようになるか?
民法上の成年年齢の引き下げによって18歳で成人になると、18歳でも親の同意を得ずに、さまざまな契約等の法律行為をすることができるようになります。
例えば、一人暮らしをするためにアパートを借りることも、ローンを組んで商品を買うことも、クレジットカードを作ることも、親の同意を得ずにできるようになるのです。
しかし、これにより、今までは未成年者取消権(未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、未成年者を保護するため、原則として契約を取り消すことができる)の対象であった18歳が、改正以降は未成年者取消権を行使することができなくなるのです。
また、誰かが亡くなって相続が発生し、遺産分割協議や相続放棄等をする場合に、現行法上は未成年者の代理人として「特別代理人」を選任して進めることになりますが、法改正後は、18歳でこのような法律行為も本人が行うことになります。
そのため、悪徳商法などによる消費者被害のリスクや、相続等について適切な判断ができずに不利益を被る可能性が格段に高まるものと思われます。
(※お酒やたばこ、競馬、競輪等の年齢制限については、健康被害への懸念やギャンブル依存症対策などの観点から、現状通り20歳のまま維持されることになっているようです。)
(相続が発生した場合に必要な手続き等については、こちらもご覧ください。)
消費者被害の実例。私の失敗談より。
実際、私が20歳の時、悪徳業者に騙された経験がありますので、その失敗談をお話しします。
今から約25年前の話しです。
当時、私は福島県の片田舎出身の大学2年生で、法律はおろか一般常識もまだ分かっていない、かなり未熟な若者でした。
当初、埼玉県にある下宿で暮らしておりましたが、せっかく東京の大学に通っているので、東京のおしゃれな街に住んでみたいと思い、アパートを探し始めました。
当時はインターネットも普及しておらず、アパート等の情報は賃貸情報誌で探すしかありません。
賃貸情報誌には写真や間取り図などはほとんど載っておらず、家賃・部屋のタイプ・駅からの距離等の主要な情報と、アピールポイントが載っている程度でした。
そのような限られた情報から、次のような記載で気になる物件を見つけました。
・大人気の吉祥寺!駅から徒歩3分。家賃7万円。鉄筋コンクリート造マンション5階、オートロック、エレベーター、1K、収納・ベッド付、南窓、敷金1・礼金1キャンペーン中!お値打ちなお家賃で早い者勝ち。
このような記載だったと思います。私の中では、ドラマに出てくるようなお洒落な高級マンションのイメージでした。
家賃は高いですが、ちょっと気になったので物件を内見したいと思い、すぐに情報を掲載していた不動産屋に電話して話しを聞きに行きました。雑居ビルの中にある小さな不動産屋でした。
担当者の話によると、その物件はかなり人気の物件で、問い合わせが何件も来ているので、すぐに契約した方が良いとのこと。
物件を内見したいと言ったところ、物件を見に行っている間に他の人に契約される可能性があるので、手付金を払って物件を抑えておいた方が良いとしつこく言われました。
手付金はいくら必要なのか聞いたところ、賃貸物件の場合は家賃の1か月分が必要とのこと(実際は、東京都では、賃貸住宅の手付金は禁止されております)。
契約すれば、初期費用から手付金分差し引くので損することはないから、手付金を払ってから見に行ってくださいと、当然のように言われたので、そういうものかと思い、送ってもらったばかりの仕送りから7万円をおろして手付金を払い、物件の鍵を借りて自分一人で内見に行きました。
その時は、手付金とはどういうものなのか分かりませんでしたが、絶対に損はしないとのことだったので、物件が気に入らなければ返してもらえると思っておりました。
そして物件に到着し、そこで目にしたものは、お洒落とは程遠い古びた雑居ビルのような建物でした。
今にも止まりそうな古くてせまいエレベーターに乗って部屋につくと、更に期待外れの状況でした。部屋は狭くて薄暗く、収納は非常に小さく、ベッドは邪魔なだけでした。南側にある窓もワイヤー入りのすりガラスで外が見えず、開けてみたところ、目の前は大きなビルの壁であり、全く日差しも入らない状況でした。部屋中ホコリだらけだったので、長いこと空室になっていることはすぐに分かりました。
不動産屋に戻り、イメージと全く違うので別の物件を探しますので、お金を返して欲しいと言ったところ、手付金は返せないとのことでした。契約しないのであれば、手付金は法律上、放棄してもらうしかないと言われ、どれだけお願いしても返してもらえませんでした。
すぐに親にも伝え、親も電話で交渉しましたが、結局7万円は返してもらえませんでした。
手付金とはどういうものかの説明もせず、不人気の物件を良い物件のように見せて客を呼び寄せ、多額の手付金を払わせるという悪徳不動産屋に騙されてしまったのです。
知識も経験も未熟な若者の場合、このような相手に言われるがまま、不利益な契約をしてしまうリスクは高いと思います。
まとめ
上記のように、私自身の失敗経験や長年法律実務に携わって見てきた様々な問題から、「18歳で成人」となることには少なからずリスクがあると思います。
2022年の施行まで、あと3年しかありません。
若者への教育と、被害に遭った場合の救済制度の整備等、国全体で早急に進める必要があると思います。
まずは、毎年ニュースで流される、あの成人式での恥ずかしい行動が、今後無くなるといいですが・・・。