【対処法】住宅ローンの返済困難時や老後資金調達に使える「リースバック」とは?
マイホーム購入後、何らかの事情で収入が悪化し、住宅ローンの返済が困難になってしまった場合、最終的には自宅が「競売」されて追い出されてしまうこと、その競売を回避する方法として「任意売却」があることは、前回の記事でご紹介しました。
(「任意売却」については、こちらの記事もご覧ください。)
その「任意売却」の記事の中で、自宅を売却して手放すことにはなるけど、そのまま住み続けることができる「リースバック」について少し触れましたが、今回は、この「リースバック」について、詳しく見ていきたいと思います。
「リースバック」のメリット・デメリット等について
「リースバック」とは、自宅を不動産業者や投資家に売却し、その買主と賃貸借契約を締結して、売却後も引き続きその自宅に住み続けるという手続きです。
従来は、住宅ローンが返済困難になり、自宅を手放さなければならない状態に陥った方が、自宅に住み続ける方法として利用されることがほとんどでしたが、最近は、次のような、まとまった資金を用意するための手段として利用されることも多くなりました。
・老後の生活資金
・病気やケガなどの治療費
・事業資金
・子供の教育費
このように、自宅を有効活用するための方法として、「リバースモーゲージ」と共に注目されており、大手企業が続々と参入してきております。
(「リバースモーゲージ」については、こちらの記事もご覧ください。)
大手企業の「リースバック」サービスの内容については、こちらをご覧ください。
・セゾンのリースバック
https://www.fundex.co.jp/kojin/product/leaseback/index.html?PHPSESSID=kn85mfr7rg83se5ai8qof6epr4
・センチュリー21のリースバック
https://www.century21-leaseback.jp/
・ハウスドゥのリースバック
https://www.housedo.co.jp/leaseback/about/
「リースバック」のメリット
リースバックは、単純に売却することに比べて、次のようなメリットがあります。
・住み続けることができる
・引っ越しの手間がかからない
・売却したことが近所に知られない
・将来的に買い戻すこともできる
やはり、なんと言っても、自宅に住み続けることができることが1番のメリットといえます。
法律事務所における自己破産手続の中で、自宅の任意売却を手掛けることもよくありますが、その中で約半数の方が、リースバックで住み続けることを希望されます。
引っ越し作業の手間や、新しい賃貸住宅を借りる際の初期費用負担などを考えると、リースバックは非常に有効な手段であると思います。
「リースバック」のデメリット
上記のようなメリットがある「リースバック」ですが、次のようなデメリットもあります。
・売却価格は一般市場価格より低くなる
・毎月の家賃が発生する
・買戻しは可能だが、その価格は売却価格より高くなることも
「リースバック」は不動産業者や投資家が買主になることが多いですが、慈善事業ではないので、当然、不動産業者や投資家が儲かるようでなければ成立しません。
一般的に、10年程度で投資額(売却価格)を回収できるように、売却価格や毎月の賃料を決定しています。
例えば、近隣の家賃相場や債務者(自宅所有者)が支払可能な家賃が月額7万円だった場合、7万円×12か月×10年=840万円程度が、自宅の売却価格になります。
そのため、売却価格は一般市場価格より低くなることがほとんどです。
また、「リースバック」は、不動産業者や投資家にとってはリスクの高いものでもあるため、希望すれば必ずしも利用できるものではないということにも注意が必要です。
まとめ
このようなメリット・デメリットがある「リースバック」ですが、自己破産等の実務を見てきて感じたのは、住宅ローンの返済が困難になってしまった方にとっては、非常に有効な手段であるということです。
このようにならないことが一番ですが、万が一の場合に備えて、知識として覚えておいて下さい。
(任意売却やリースバックの成功事例につきましては、こちらをご覧ください。)