空き家対策にもなる「高齢者向け返済特例制度」

「高齢者向け返済特例制度」とは?

高齢者向け返済特例制度は、満60歳以上の高齢者の方が自ら居住する住宅に、バリアフリー工事または耐震改修工事を施すリフォームを行う場合について、返済期間を申込本人(連帯保証人を含みます)の死亡時までとし、毎月の返済では利息のみを支払い、借入金の元金は申込本人(連帯債務者を含む)が亡くなったときに一括して返済する融資を、住宅金融支援機構が総額1000万円まで提供しているものです。

住宅金融支援機構のリスク負担を軽減するため、高齢者住宅財団が債務保証しています。

高齢者向け返済特例の特徴

この制度には、次のような特徴があります。

月々の支払いは利息のみ(準リバースモーゲージ)

リフォーム資金の毎月の支払は利息のみとなり、月々の返済の負担を低く抑えられます。

一般的なリバースモーゲージは、利息を死亡時まで支払わないため、その利息まで含めて積みあがった総額がかなり大きな金額になってしまいます。そこで、利息だけは毎月返済することで、「借りた金額だけ返せばよい」仕組みとし、借入する人にも理解しやすい制度としたものです。

なお、融資期間が不定なので、長い期間に対応した利率が適用されます。このため、10年というように期間を決めて借りる場合に比べると、利率が高めになることに注意が必要です。

また、元本を返済しないわけですから、元本残高が減りませんので、亡くなるまでの利息の総額は、元利均等返済等の場合に比べると大きくなります。

例えば、耐震改修工事のリフォームローンとして住宅金融支援機構から1000万円借り入れた場合、通常のリフォーム融資と比較すると次のようになります。

・10年間元利均等返済 年0.59%:8万5,836円(元金+利息)

・高齢者向け返済特例  年0.75%: 6,250円(利息のみ)

※返済額は平成30年4月の金利で計算したものです。

借入金の元金は、申込人全員が亡くなった時に一括返済

制度利用者の申込人全員が亡くなった場合、相続人の方かた、融資住宅及びその敷地の売却、住宅金融支援機構からの借換融資、自己資金などにより、一括で返済することになります。

なお、住宅金融支援機構からの借換融資は、耐震改修工事を行う場合に限られます。

融資限度額は1000万円まで

本制度利用による融資限度額は、住宅部分の工事費又は1000万円のいずれか低い金額までとなります。

部分的バリアフリー工事と耐震改修工事を併せて行った場合でも、融資限度額は変わりません。

利用条件の概要

高齢者向け返済特例を利用するための条件は、次のようになります。

利用対象者

次の全ての要件を満たす方

  • 借入申込時に満60歳以上の方(年齢の上限はありません。満60歳以上の同居親族は連帯債務者となることができます。)
  • ご自身が居住する住宅をリフォームする方
  • 総返済負担率が、年収400万円未満の場合30%以下、年収400万円以上の場合35%以下である方。
  • 日本国籍の方、または永住許可などを受けている外国人の方

融資対象住宅

次の要件に当てはまる住宅

  • 工事完了後の住宅部分の床面積が50㎡以上(共同建ての場合は40㎡以上)の住宅
  • 申込本人、申込本人の配偶者、申込本人の親族のいずれかの方が所有又は共有している住宅

融資対象となる工事

次のいずれかに該当する工事を行う必要があります。

  • 部分的バリアフリー工事(床の段差解消、廊下及び居室の出入口の拡幅、浴室及び階段の手すり設置のいずれかを含む工事)
  • 耐震改修工事(耐震改修、耐震補強)

返済期間

申込人(連帯債務者を含む)全員がお亡くなりになるときまで。

返済方法

毎月の返済は利息のみ(ボーナス併用払いは利用できません)

毎月の返済額

融資金額×融資金利÷12(1円未満切り捨て)

担保(抵当権)

建物および敷地に住宅金融支援機構を第1順位とする抵当権を設定。

保証

高齢者住宅財団の保証が必要となります。

高齢者住宅財団の保証を受けるに当たっては、次の諸費用が必要となります。

  • 保証限度額設定料:3万円+消費税
  • 事務手数料:7万円+消費税
  • 保証料:融資額の4%

その他の注意事項

制度の概要は上記のとおりですが、死亡時には、相続人が一括で返済するか、あらかじめ担保提供された建物・土地を処分して返済することになりますが、担保実行により融資金の全額を返済できない場合は、相続人が残債務の返済をせねばならないことにも注意が必要です。

 

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